ドゥラメールとニベアが似ている件を私も検証してみました(^_^)v

こんにちは。

化粧品開発者・コスメ成分アドバイザーの尾崎幸子です。

 

本日時点で某化粧品口コミサイトでランキング2位にあるニベアクリーム

昔から多くの人に愛用されている、男性にもよく知られています。

私も幼い頃、母に付けてもらった記憶があります(^^♪

 

このニベアクリームが海外の高級フェイスクリーム「ドゥラメール」と成分が酷似しているとかなり話題になっています。

かたやニベアは数百円程度、ドゥラメールは一番容量が少ないものでも2万円弱のお値段。

これが本当に同じならニベアを買う方がお得と思うのは至極あたりまえな話ですよね。

ドゥラメールは私も使ったことがあります。ファンデーションとの相性が良いなというのがその時の感想。

その時はまだ化粧品開発を本格的にしていなかったので、細かな成分なんかはあまり気にしていませんでした。

 

このどちらが良いのか?

考えられるのはニベアがすごくて、とってもお得に作られているのか?

というのと、

ドゥラメールが実はたいしてすごくなくて、ニベア並みのもので無駄に高いのか?

という方向性ですよね。

 

ネット上で様々な方がこの両者について検証しています。

私は化粧品開発者ですので、検証しない訳がない(^^)

きっちりかっちり、成分表を照らし合わせて、私の見解をお伝えしようと思います。ちょっと長いですがお付き合い頂ければ幸いです♪

 

まずは両方の成分を見てみましょう。

【ドゥラメール】

水、ミネラルオイル、褐藻エキス、ワセリン、水添ポリイソブテン、マイクロクリスタリンワックス、ラノリンアルコール、ライム果汁、パラフィン、エタノール、硫酸Mg、オレイン酸デシル、ジステアリン酸Al、オクチルドデカノール、香料、クエン酸、ステアリン酸Mg、パンテノール、安息香酸Na、水添野菜油、シアノコバラミン、カロチン

 

【ニベア】

水、ミネラルオイル、ワセリン、グリセリン、水添ポリイソブテン、シクロメチコン、マイクロクリスタリンワックス、ラノリンアルコール、パラフィン、スクワラン、ホホバ油、オレイン酸デシル、オクチルドデカノール、ジステアリン酸Al、ステアリン酸Mg、硫酸Mg、クエン酸、安息香酸Na、香料

 

パッと見でも似てますね。

検証のために分類したものがありますのでそちらで説明します。

成分_ニベア ドゥラメール

簡単に作ったものなので画質が良くないのですが。。。

 

まず、全成分表示で黄色になっているものが重複している成分。

水、ミネラルオイル、ワセリン、水添ポリイソブテン、マイクロクリスタリンワックス、ラノリンアルコール、パラフィン、硫酸Mg、オレイン酸デジル、ジステアリン酸Al、オクチルドデカノール、香料、クエン酸、ステアリン酸Mg、安息香酸Na

ほぼ重複しています。この黄色の部分だけでほとんどの機能が担われていますので、ほぼ同じと言っても良いでしょう。

もちろん、配合比率が全く同じということは無いと思いますが、順番もほぼ同じですので、さほど差があるとは思えません。

成分をみると、皆さんが言っている通り、かなり近いものと判断できます。これ、都市伝説とかでなくて、本当と言えること。

 

では、次に、ニベアがすごいのか?ドゥラメールが大したことが無いのか?

それを検証してみましょう。

————- 検証開始!——————-

どちらにも共通する話、クリームの大半を担う成分が緑色の枠で囲った成分

ミネラルオイル、ワセリン、水添ポリイソブテン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン、シクロメチコン

これらは全て石油由来の成分。

使用感が良く、価格も安いため、化粧品には多く使われます。この成分だけでは数万もするとは到底思えません。

1000円以下で買えるものに容易に出来ます。つまり、これではドゥラメールの価格に匹敵しないということですね。

 

この石油由来の成分はほぼ一致していますが、一部、ニベアにはシクロメチコンが多く入っています。ただ、このシクロメチコンは双方に入っている水添ポリイソブテンとかなち近い感触を持っているので、実際製品として感じる感触はさほど違いは無いと思います。

 ちなみにこれらは石油由来の成分ですから栄養素ではありません。お肌の上に留まり、外部刺激から守ったり、水分の蒸発を防ぐ役割になります。

 

☆次に、ドゥラメールは安い成分だけで出来ているのか?高価なものは何なのか?それを探してみましょう。

 

 ドゥラメールの成分にある、「褐藻エキス」。

これは海藻から採れる成分です。

保湿効果があり、アミノ酸やビタミンなども含まれ栄養成分も入っています。海藻のエキスは化粧品には多く使われ、この成分自体は珍しいものではありません。栄養(美容)成分の1つです。

ただ、どんなに希少な海藻で作ろうが、普通の海藻で作ろうが、化学的に同じものになれば同じ表示名になりますので、これが高価なものか否かは成分名だけでは分かりません。

ドゥラメールのHPを見ると、この海藻エキスが希少だとは言っていますが、これほどの価格になるのか?というのは少々疑問。。

そもそも化学的に同じものであれば基本機能は同じですしね。元の海藻の品質でそれほど差が出るとは思えません。

ただ、この成分自体はお肌に良いものですから、否定するものでは無いです。あくまでも価格設定に疑問というだけ。

 

おそらくニベアにおいては褐藻エキスの感触(保湿効果)などの部分をグリセリンで担っていると思えます。ここに多少の価格差はあるかもしれません。褐藻エキスによってはグリセリンより高いものはありますので。

 他にライム果汁も独自製法と謳っていますので、これも価格差に影響しているかもしれません。使用感にはほぼ影響しません。植物エキスですからかなり緩和な作用になると思います。長期的な作用ということ。これは栄養(美容)成分ですね。

 

成分からの見解で価格が高いと推測するならば褐藻エキスとライム果汁の2つなんですよね。

どちらも成分としては珍しいものではありません。他で使われる褐藻エキスとライム果汁とどれだけ差があるかは、成分表記だけでは分かりませんが、エイジングケアに向いている成分は他にも多くありますので、これがそこまでもてはやされる必要もないかなとも思います。

 

それぞれ他にも栄養成分が入っています。

ドゥラメール→パンテノール(ビタミンB6)、シアノコバラミン(ビタミンB12)、カロチン(ビタミンA)

ニベア→スクワラン(保湿)、ホホバ油(保湿)

どちらも悪いものではありません。価格で言ったらスクワランもホホバ油も高いですし。

でも、見た感じ、そこまでの配合濃度では無いと思います。コンセプト的な立ち位置かなと推測できます。

これは実際私が化粧品を作っているから感じる感覚なので、皆さんにはピンとこないかもしれませんが、、、。

 

1つ配合量が少ないと分かるものを紹介したいと思います。

それは、ドゥラメールに入っているシアノコバラミンという成分。これはビタミンB12でして、保湿や肌のコンディションを整える効果があります。

これ、化粧品原料としての形状は赤い粉末なんです。

シアノコバラミン1

これです。ちなみに写真は私のラボにあるもの。普通に使います。

これを化粧品に配合するとこんな色になります。水に溶けやすいものなので、化粧水タイプで試してみますと、

シアノコバラミン2

綺麗なピンク色です。

シアノコバラミンの効果がしっかり出るように配合するのであれば、その化粧品はピンク色になるはずなんです。

ところが、ドゥラメールは白色。つまり、シアノコバラミンはコンセプトとして配合されているということになります。

ごくごく少々しか入っていないということ。シアノコバラミンの効果は期待できません。

ちょっと残念な結果です(>_<)

 

—— 結論!——–

ニベアは適正価格。安くて使いやすいクリーム。特別高機能ということでは無い。

ドゥラメールは価格に疑問あり。ニベアのように使いやすいクリームではある。特殊な成分は無いが、価格が高い理由を考えるのであれば「手間賃」的なものかと。効果効能にものすごく影響を与える感じではないと思う。

———————-

というのが私の見解。

どちらもクリームとして粗悪な訳ではありません。

ベースとなっている石油由来の原料は、のびが良く、なめらかです。そのため、その上にファンデーションを乗せると相性は良いんです。

しかし、石油由来成分が主ですから、栄養素は少なめ。機能として肌質改善を重要視するのであれば、これを選ばなくても他にも良いものがあります。

刺激から守ってくれますし、水分の蒸発を防ぐものなので、その部分の力が足りなかった化粧品を使っていた人がこれを使うと良い結果になることもあると思います。

私としてはこれ1つですべてのスキンケアを担う(という人も多いみたいですが)のは違うなと。皆さんが思うエイジングケア製品というくくりでは無いと思いますよ。

 

とはいえ、肌を守るクリームとしては良いわけですし、その目的であればニベアの方が手に取りやすい価格なわけで、ニベアを選ぶべき。

 

じゃぁ、ドゥラメールを選ぶべき人は?

私が思うに、心がお肌に影響しやすい人に向いていると思います。

 

化粧品は本当に不思議なもので、たとえ化学的に効果が無かろうと、「これは高級品だから」「容器が可愛いから」「あこがれの人が使っているから」「香りが良いから」「肌さわりが好きだから」という心理的な影響で肌質が改善されてしまうことがあります。

 

薬じゃないですから、こういった効果を化粧品が持っているのはおおいに賛成!

言い方が悪いかもしれませんが「暗示にかかりやすいひと」はドゥラメールのような高価な化粧品の恩恵を受けやすいと思います。

ブランドものを持つと力が湧いてくるとか、贅沢するとストレスが格段に無くなるとか、そういったことが生活習慣にある方は合っているかもしれませんよ!

 

化粧品は効果効能で選ぶのはもちろんですが、心理的な影響もあるので、このような話題にのぼるものが出てきてしまうんだと思います。

どれを選ぶかは性格によりけり。

私のように化学的な結果をしっている人はドゥラメールの恩恵を残念ながら受けられないでしょう。これも見方によっては「損」ですよね。機能性が本当に高いものじゃないと結果を感じられないのですから。

 

要は美しくなれれば良いのです。

精神重視型か、機能性型か、それによって合う化粧品、かけるコストは異なるってことですね。

 

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